先日、大学費用の準備を支援する認定カレッジプランナーでもある先輩コンサルタントのセミナーに参加しました。ファイナンシャルコンサルタントとして、また数年で大学受験を控える子供を持つ母親としてかなり興味深いセミナーでした。コロナ後、大学受験はどう変わっていくのか、また2023年から奨学金に申し込むために記入するFAFSAがどう変わるのか、最新の情報をお伝えしたいと思います。
コロナによる大学受験の変化
リモートワークを当たり前にしたコロナ禍ですが、大学受験にも影響を及ぼしました。
コロナ前には、大学合否の目安の1つとなるACTやSATというテストが、コロナ禍では受けるられない生徒が大多数いました。
ACTやSATは、受験会場に出向いて受けるのが一般的でしたが、コロナ禍は会場で受けられなくなりました。
そのため、テストを受けられない生徒は大学合否の不利となるため、コロナ禍では大学願書にACTやSATのスコアの提出は必要がないとしました。
ACTやSATはもう必要ない?
ACT/SATのスコアは提出する必要がなくなりましたが、テスト自体がなくなるのでしょうか?
現時点では、私立大学はACT/SATのスコアが良ければ提出しても良いという形式を取っているようです。
また、SATにはエッセイを書くテストもありましたが、2021年6月から廃止。
今後は、SAT/ACTに変わるデジタル版のテストが導入されるのではと言われています。
これからの大学受験に求められるものは?
従来はGPA(Grade Point Average、学校での成績の平均値)以外に、ACTやSATといったテストのスコア、また課題活動やボランティアといった活動が大学受験に必要でした。
テスト結果が必須でなくなった今後、大学は成績だけでなく「個人」の情熱やリーダーシップ、チャレンジ精神といった内面的なスキルも重視するようです。
これからは、このような項目が大学受験に必要となってきます。
- GPA
- APクラス
- スポーツ
- ボランティア(リーダーシップを発揮できるものが良い)
- 先生からの推薦状(成績だけでなく、生徒の内面も理解できる内容)
- リーダーシップを発揮できる課外活動
- リーダーとしての影響力
例えば、高校ではAPクラス(Advanced Placementクラス)という上級レベルのクラスを受講できます。APクラスは、通常の授業で教える内容よりも、アカデミックレベルが高い授業のクラスになります。そのため、大学受験においては、APクラスを取っている生徒は、すべて「通常」クラスを取っている生徒よりも、チャレンジ精神があるとみなします。他にも高校でAPクラスがない場合は、自主的にコミュニティーカレッジなどでオンラインコースを受講して勉強をしたかどうかが重要となるようです。
また、大学が求めている人物像は、成績が良いだけではありません。
自分がやりたいことに情熱をもってチャレンジし、影響力のあるリーダーという内面を重視していく傾向となっています。
自転車好きの男の子が発揮した「リーダーシップ」
リーダーシップといっても、どう発揮すれば良いか分かりませんよね。
セミナーでは、趣味をうまくリーダーシップに繋げた男の子を事例として紹介していました。
小さいころから自転車が大好きな男の子がいました。
本人は、趣味として自転車に乗っていました。
ある日、カウンセラーからこんなアイデアをもらいました。
「もし、ガレージに眠っている小さくなった自転車や壊れた自転車があれば、修理をして、恵まれない子供たちにプレゼントしてみたら?」
彼は「プロジェクト」として、チャレンジしてみることにしました。
- 壊れて古くなった自転車のパーツを購入
- YOUTUBEや修理ができる人から修理方法を学び
- SNSを活用して、恵まれない子供たちにプレゼント
- 子供たちに、自転車の乗り方をおしえるこの作業を主に一人でやり遂げたのです。
大学は、彼の行動から、①自主性 ②新しい事を学ぶチャレンジ精神 ③まわりに与えた良い影響 ④ボランティア精神 ということが分かります。
これからの大学は、このような人物像を求めているのです。
FAFSAフォームの変更点 (2023年~)
2023年から、奨学金を申し込むFAFSAフォームが変わります。記入するフォームが変わるだけでなく、奨学金をもらうために必要な項目も更新されます。従来のFAFAフォームと比べると、かなり簡潔化されるようです。
変わるもの
- FAFSAフォームで記入する質問数 106個→36個
- 今までは、IRSに申告した内容を入力する必要がありましたが、2023年からはIRSのData Retrieval Tool(データ取得ツール)と自動連動するので、かなりの情報の入力が省けるようになる
- EFC(Expected Financial Contribution)-> SAI (Student Aid Index) に名前が変更
- 同時期に大学に通う子供がいる場合の有利性 (EFCが1つで良い)→廃止
- 家計の収入が合計$59,999以下→「資産」を持っていても、FAFSAでは計上されなくなる
- 家族以外(例:祖父)からの金銭的援助 →FAFSAでは計上されなくなる
- シングルペアレントの場合、IRSに扶養家族として申告している親がFAFSAフォームを提出できる
変わらないもの
奨学金をもらうには、FAFSAフォームを提出しなくてはなりません。 FAFSAでは、下記の項目が「収入・資産」として見なされます。 これらの項目は、現時点ではFAFSAが変更になっても変わらないようです。
- 親の収入
- 親名義の銀行口座
- 不動産(貸し出している家など)
- 子供の収入
- 子供名義の銀行口座
- UTMA
- 529プラン
- 投資信託
- 株/電子通貨
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まとめ
コロナによって、私たちの生活がガラリと変わりました。大人だけでなく、子供たちの教育や受験方法にも影響がありました。また、大学のFAFSAフォームも、2023年からガラリと変わります。改善されたものもあれば、改悪されたと感じる方もいます。そのため、すべての変更に納得いかない方も多く、特定の新ルールに対して反対のペティションも始まっています。この先、FAFSAの新ルールについて変更などあるかもしれませんね。
このブログでは、こういった最新情報も積極的に発信していく予定です。