アメリカで大学進学を考えるとき、気になるのは「学費」じゃないでしょうか?州内の大学に通うのか、それとも州外の大学を選ぶのかで、学費が大きく変わることをご存知でしょうか?例えば、同じ大学でも、州内在住者 (In-State) と州外在住者 (Out-of-State) では学費が倍以上違うことも珍しくありません。
しかし、少し工夫をすれば、州外の大学に進学する際にも学費を抑える方法があります。その鍵となるのが「Regional Tuition Exchange Program」や「Tuition Reciprocity Program」です。これらのプログラムを利用すれば、州外でも比較的リーズナブルな学費で通える場合があります。今回は、州外の学生が利用できる「Regional Tuition Exchange Program」と「Tuition Reciprocity Program」について補足しますね!
In-State(州内)/Out-of-State(州外)とは?
アメリカでは、日本と違い、州内の大学に通うのか、それとも州外の大学に通うのかで学費が全然違ってきます。アメリカの大学では授業料にIn-State(州内)とOut-of-State(州外)の2つの料金設定が存在します。この違いが、進学先の選択において重要なポイントになることが多いです。
In-State(州内)とは、自分が住んでいる州内にある公立大学に進学する場合のことを指します。州の住民としての恩恵を受けることができるため、学費が比較的安く設定されています。(それでも、大学のスティッカープライスは高いのですが。。。。)これは、州政府が地元の学生をサポートし、州内での進学を促進するためです。自分の住んでいる州の公立大学に通うと、 州内学生として安い授業料が適用されます。 州内学生のステータスを得るには、居住期間、生活基盤の証明、納税記録、親の居住地などの条件があります。
Out-of-State(州外)とは、自分が住んでいる州以外の公立大学に進学する場合のことを指します。この場合、州内の学生向けの補助が適用されず、授業料はIn-Stateよりも大幅に高くなります。他州かの学生に対しては、通常、2倍以上の授業料が課されることが一般的です。
でも、州外の大学に進学する際にも学費を抑える方法があります。その鍵となるのが「Regional Tuition Exchange Program」や「Tuition Reciprocity Program」です。これらのプログラムを利用すれば、州外でも比較的リーズナブルな学費で通える場合があります。
Regional Tuition Exchange Program, Tuition Reciprocity Programとは?
Regional Tuition Exchange ProgramとTuition Reciprocity Programは、アメリカの特定の州同士が協力して、州外の大学に進学する学生でも通常より低い学費で通えるようにするプログラムです。
両方共、似たようなプログラムですが、Regional Tuition Exchange Programは、複数の州を含む特定の地域が全体が協力をして利用できます。そのため、参加している州や(大学によって条件はありますが)より多くの大学や専攻を選択することができます。
画像:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1043381531120886&set=pb.100063471459995.-2207520000&type=3
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Regional Tuition Exchange Program: WUP (西部エリア)
西部エリアでは、WUE:Western Undergraduate Exchangeが該当します。この制度は、以下の州に住む学生と州立大学に適用されます。
対象州:Alaska, Arizona, California, Colorado, Hawaii, Idaho, Montana, Nevada, New Mexico, North Dakota, Oregon, South Dakota, Utah, Washington, and Wyoming
Resource:https://www.wiche.edu/
このプログラムを利用すれば、西部15州の公立大学に、通常のOut-of-State授業料よりも低い費用で通うことができます。 他州からの学生でも、州内授業料の およそ1.5倍の費用にまで授業料が下がります。
例えば、Cal Poly Humboldtの場合、WUEプログラムの対象になるとこんなに授業料が違ってきます。
Resource:https://www.humboldt.edu/financial-aid/costs/attendance-cost
Out-of-State(州外)の学費と比べると毎年約$7000近く学費を抑えられることになります。
Regional Tuition Exchange Program: 中西部 (MSEPプログラム)
中西部エリアでは、MSEP:Midwest Student Exchange Programが該当します。この制度は、以下の州に住む学生と州立大学に適用されます。
対象州: Indiana, Kansas, Minnesota, Missouri, Nebraska, North Dakota, Ohio, Wisconsin
Resource:https://msep.mhec.org/
このプログラムを利用すれば、中西部11州の公立大学に、通常のOut-of-State授業料よりも低い費用で通うことができます。 他州からの学生でも、州内授業料の およそ1.5倍の費用に抑えられます。
例えばIndiana University Columbusの場合:
Resource:https://columbus.iu.edu/students/paying-for-college/apply-financial-aid/index.html
Indiana University Columbusでは、In-State・Out-of-Stateという用語ではなく、Resident/Non-Resident(居住者・非居住者)というように区別しています。
上記の表を見ても分かるように、MSEPとNon-Resident(非居住者)の学費の違いは$18000近くにもなるので、MSEPプログラムの対象になると学費をかなり抑えられることになりますね!
Regional Tuition Exchange Program:南部 (ACMプログラム)
南部エリアでは、ACM:Academic Common Marketが該当します。この制度は、以下の州に住む学生と州立大学に適用されます。
対象州: Alabama, Arkansas,Delaware, Florida, Georgia, Kentucky, Louisiana, Maryland, Mississippi, Oklahoma, South Carolina, Tennessee, Texas, Virginia, West Virginia
(※ テキサス州は、Master DegreeやPhD Degreeといったような大学院課程の専攻に限り適用されます)
Resrouce:https://www.sreb.org/academic-common-market
このプログラムは、特定の専攻に限り他州の公立大学でもIn-State(州内)の授業料が適用されます。 他州の大学で、自分の州内では提供されていない 専攻を学ぶ場合に、Out-of-State授業料が免除されることがあります。
ニューイングランド(アメリカ北東部) エリア: NERSP
ニューイングランド(アメリカ北東部)エリアでは、NERSP : New England Regional Student Programが該当します。この制度は、以下の州に住む学生と州立大学に適用されます。
対象州:Connecticut、 Maine, Massachusetts, New Hampshire, Rhode Island, Vermont
Resource: https://nebhe.org/tuitionbreak/
このプログラムは、特定の専攻に限り、自分の州では提供されていない専攻を他州で学ぶ場合に、授業料が割引されます。授業料は、最高でIn-state授業料の1.75倍。年間平均で約$8,600の授業料割引が受けられることが特徴です。これにより、学生は学びたい専攻に応じて、より多くの選択肢を検討することができます。
Regional Tuition Exchange ProgramとTuition Reciprocy Programの違い
Regional Tuition Exchange Program もTuition Reciprocy Programの両方は、特定の州同士が協力をして、州外の学生が通常の州外授業料よりも安い授業料で大学に通えるプログラムですが、違いもあります。
Regional Tuition Exchange Programは、複数の州を含む特定の地域が全体が協力をして利用できます。そのため、参加している州や(大学によって条件はありますが)より多くの大学や専攻を選択することができます。
Tuition Reciprocity Program(学費相互協定プログラム)は、アメリカの特定の州同士が協定を結んで、お互いの州からの学生に学費を安くする仕組みのことです。このプログラムは主に隣接する州が協定を結んでいるため、参加している州が限定されます。
ただし、注意点もあります。これらのプログラムは基本的に自分が住むエリアの州が対象となるため、例えばカリフォルニア州からオハイオ州の大学に進学する場合には、このプログラムを利用することはできません。また、この学費割引プログラムは大学ごとに適用条件が異なるため、進学を予定している大学が州外にある場合は、必ず事前にその大学へ確認することが重要です。
まとめ
アメリカの大学では、州内(In-State)と州外(Out-of-State)の違いによって学費が大きく異なります。州外の大学を目指す場合、その負担が大きくなることも多いですが、Regional Tuition Exchange ProgramやTuition Reciprocity Programなどの制度を上手に利用すれば、州外でもより手頃な学費で通うことが可能です。
ただし、注意点もあります。このプログラムは基本的に自分の住むエリアに限定されており、例えばカリフォルニア州からオハイオ州の大学には利用できない場合があります。また、割引が適用される条件は大学ごとに異なるため、進学を希望する大学がこのプログラムに参加しているか、事前にしっかりと確認することが大切です。