「お金を増やす」と聞くと、なんだか難しく感じますよね。
でも、実は私たちは日常の中で、すでに“お金を増やす仕組み”に関わっています。
銀行の預金、子どもの教育資金の積立、老後のための401(k)やIRAなど。
それぞれのお金が“どう増えていくか”を決めるのが単利(Simple Interest)と複利(Compound Interest)という2つの考え方です。
初めて単利と複利の違いを知ったときは、かなりショックでした。だって、同じ金額・同じ利率でも、「利息のつき方」が違うだけで、10年後・30年後の結果はまったく変わるんですよ!
単利とは?
単利(Simple Interest)は、元本(最初に預けた金額)に対してだけ利息がつく仕組みです。
つまり、毎年同じ一定の金額だけ増えていきます。
たとえば、以下が単利で増えていく代表的なものです。
- 一部の債券(Bond):利息を半年ごとや年1回受け取るタイプ
- 短期貸付(Short-term loan):契約期間終了時に利息を一括で支払うタイプ
単利では、利息が増えてもその利息自体には利息がつきません。
たとえば10万ドルを年5%で運用した場合、毎年5,000ドルの利息。
10年後には15万ドルになります。

$100,000を5%の単利で増やした場合、このような感じになります。
| 年数 | 計算式 | 利息合計 | 元本+利息(合計金額) |
|---|---|---|---|
| 0年目 | – | $0 | $100,000 |
| 2年目 | $100,000 × 0.05 × 2 | $10,000 | $110,000 |
| 4年目 | $100,000 × 0.05 × 4 | $20,000 | $120,000 |
| 6年目 | $100,000 × 0.05 × 6 | $30,000 | $130,000 |
| 8年目 | $100,000 × 0.05 × 8 | $40,000 | $140,000 |
| 10年目 | $100,000 × 0.05 × 10 | $50,000 | $150,000 |
| 20年目 | $100,000 × 0.05 × 20 | $100,000 | $200,000 |
| 30年目 | $100,000 × 0.05 × 30 | $150,000 | $250,000 |
計算がシンプルでわかりやすい反面、長期間の運用では伸びが鈍いのが特徴です。
複利とは?
一方、複利(Compound Interest)は、元本だけでなく、これまでに得た利息にも新たな利息がつく仕組みです。
1年目に増えた利息が2年目には元本に組み込まれ、そこからさらに利息が生まれていきます。
この仕組みは「雪だるま式」とも呼ばれます。
少しずつ転がしていた小さな雪玉が、時間とともにどんどん大きくなるように、お金も、得た利益を積み重ねながらゆっくりと成長していくイメージです。

この“利息が利息を生む”効果こそ、時間を味方につける資産づくりの基本。
たとえば10万ドルを年5%で複利運用した場合:

| 年数 | 計算式 | 利息合計 | 元本+利息(合計金額) |
|---|---|---|---|
| 0年目 | – | $0 | $100,000 |
| 2年目 | $100,000 × (1.05)^2 | $10,250 | $110,250 |
| 4年目 | $100,000 × (1.05)^4 | $21,551 | $121,551 |
| 6年目 | $100,000 × (1.05)^6 | $33,823 | $133,823 |
| 8年目 | $100,000 × (1.05)^8 | $47,746 | $147,746 |
| 10年目 | $100,000 × (1.05)^10 | $62,889 | $162,889 |
| 20年目 | $100,000 × (1.05)^20 | $165,330 | $265,330 |
| 30年目 | $100,000 × (1.05)^30 | $332,194 | $432,194 |

単利なら25万ドルにしかならないため、なんとその差は約18万ドル!
30年という長い期間、複利で運用をするとびっくりするくらいの差がでますね。
これが「複利の魔法」と呼ばれる理由です。
(参考:U.S. SEC Investor.gov Compound Interest Calculator)
複利で運用される代表的な商品
複利の仕組みは、私たちの身近なお金にもたくさん使われています。
- 銀行預金(Savings Account)やCD(定期預金)
多くのCDでは「日次・月次・年次」単位で複利計算されます。 - 株式、投資信託(Mutual Funds)、ETF
分配金や配当を再投資することで、複利のように資産を増やすことができます。 - 401(k)、IRA、Annuity、IUL
長い時間を味方にして、お金を“育てていく”タイプの仕組みです。積立や利息が繰り返し運用されることで、自然と複利の力が働くように設計されています。
これらの商品は、時間を味方にしながらコツコツと育てていくことが基本です。
だからこそ、早く始めるほど複利の効果が大きくなります。
複利の力を活かす3つのポイント
複利の力を活かすには、「どんな商品を選ぶか」だけでなく、“どう育てるか”がポイントになります。
ちょっとした工夫で、お金の成長スピードはぐんと変わります。
ここからは、今日から実践できる3つのコツを紹介します
- 早く始めること
時間が複利を育てる最大の味方。1年早く始めるだけで大きな差に。 - 利息を再投資すること
得た利息をそのまま運用に回すことで、「利息が利息を生む」サイクルが続く。 - 安定した利回りを意識すること
「もっと増やしたい」と思う気持ちは大切ですが、大きなリターンには、それだけのリスクもついてきます。
安定してコツコツ増やすことが、長期的に見ると、一番の近道です。
逆複利にも注意 ― クレジットカードやローンの利息
複利は、資産を育てる強力な味方ですが、使い方を誤ると“逆効果”にもなります。
たとえば、クレジットカードのリボ払いやローンの延滞利息。
支払いを先延ばしにするほど利息にまた利息がついて、あっという間に、それこそ雪だるま式に支払いが増えてしまいます。
実際、アメリカでクレジットカードの借金が多いのは、この「逆複利」のパターンが原因です。
支払いを先延ばしにしたり、毎月「最低支払額(minimum payment)」だけを払っていると、
利息が元本に加えられ、さらにその利息に利息がついていきます。
少しずつ返しているつもりでも、時間がたつほど利息の割合が増え、
気づいたときには返済のほとんどが“利息の支払い”になってしまうこともあります。
お金を「増やす」ことにも「減らす」ことにも時間が関係しています。
だからこそ、複利は味方に、逆複利は遠ざける。
この意識を持つだけで、家計の未来はぐっと健全になります。
まとめ

単利は「短期向け」、複利は「長期向け」。
どちらが良い・悪いではなく、目的に合わせて使い分けることが大切です。
でも、教育資金や老後の準備のように、時間をかけて育てたいお金には、複利の力が効果的です。
小さくても早く始めることで、将来の差は大きく変わります。