プライベートコラム 凛と暮らす 資産形成(守る・増やす)

【体験談】ずっと後回しにしていたけど…ついに重い腰を上げました。私がリビングトラスト (生前信託)を作った理由

リビングトラストのことは、数年前からなんとなく気になっていました。
「作った方がいいんだろうな」とは思いつつも、日々の忙しさに追われて、つい後回しに…。
正直、「まだ元気だし、急がなくてもいいか」と、自分に言い聞かせていたところもありました。

でも昨年、とあるセミナーに参加して「これは先送りにしちゃいけないことだった」とハッとさせられました。
自分に何かあったとき、家族がどれだけ大変な思いをするのか。
その現実を知って、ようやく重い腰を上げ、夫婦でリビングトラストを作成することにしたのです。安心感がまったく違うことを、今になって実感しています。

「まだ先の話でしょ」と思っている方にこそ、ぜひ知っておいてほしい。

今回は、当時の自分のように「気になってはいるけど手がつけられていない」という方に向けて、エステートプランニング/リビングトラストの大切さや仕組みをまとめてみました!

エステートプランニング(Estate Planning)ってなに?

リビングトラストは、「エステートプランニング(Estate Planning)」と呼ばれる人生の備えの一部です。
エステートプランニングとは、自分にもしものことがあったとき、財産や家族をどう守るか、どう引き継ぐかを事前に考え、準備しておくことを指します。

アメリカでは、日本と違い「亡くなったら自動的に家族に引き継がれる」という仕組みではありません。
だからこそ、自分の意思や希望をしっかり形にしておくことがとても大切になります。

エステートプランニングには、以下のような準備が含まれます。

  • リビングトラスト(生前信託)
  • 遺言書(Will)
  • 医療に関する意思表示(Advance Healthcare Directive)
  • 財産や生命保険の受取人名義の確認
  • 子どもの後見人指定(Guardianship)
  • 財産・契約に関する委任状(Power of Attorney)

この中でも、リビングトラストは「財産の受け渡し」と「判断能力を失ったときの財産管理」の両方に対応できる、中心的な役割を担うツールです。

Natsuko
Natsuko

私の両親もアメリカに住んでいるので、リビングトラストを作成しています。
上記の「Advance Healthcare Directive」は、母が倒れて入院する際、また短期の介護施設に入所する際にもとめられました。
両親がすでに作成してくれていたので、私は「Advance Healthcare Directive」のコピーを渡すだけでよかったのですが、もし作成していなかった場合、同意書にサインをしたり、色々質問に答えなければならず、大変な状況になっていたかもしれません。

リビングトラストとは?

リビングトラスト(Living Trust)は、日本語では「生前信託(せいぜんしんたく)」と訳されることもあります。
自分が生きているうちに、将来のために財産(家、不動産、預金、投資口座など)をどのように管理し、誰に引き継ぐかを決めておく法的な仕組みです。

信託といっても、元気なうちはこれまで通り自分で自由に使えます。
ただ、将来的に病気や認知症などで判断が難しくなったときや、亡くなったあとの手続きがスムーズになるよう、あらかじめ準備しておくものです。

なぜ必要なの?

アメリカでは、本人が亡くなったあとに財産を家族へ引き継ぐには、「プロベート(裁判手続き)」を通る必要があります。
このプロベートは、時間も費用もかかる手続きとのこと。

  • 手続きに数ヶ月〜1年以上かかる場合も
  • 弁護士費用や裁判所への手数料で数千〜数万ドルがかかることも
Natsuko
Natsuko

私が撤回可能(Revocable)なリビングトラストを作成した際、実際のお手続きに2年ちかくかかることが多いと聞きました。2年間、長いですよね。。。

しかし、リビングトラスト(生前信託)を作成しておけば、こうしたプロベート手続きを避けることができます。
その結果…

  • 銀行口座や資産をすぐに使える
  • 不動産の名義変更や売却もスムーズ
  • 家族の精神的・経済的な負担が大きく減る

というように、残された家族が「助かった」と感じるケースが多いです。

Natsuko
Natsuko

リビングトラストを作成した後の手続きも重要です!
財産をきちんとトラスト名義に切り替えることを忘れずに!

どんな人に必要?

「資産がたくさんある人の話でしょ?」と思うかもしれません。
でも実際には、そんなことなく、次のような方こそ作成しておくと安心です。

  • 不動産(家やコンドミニアムなど)を所有している(ローン中でも)
  • 小さなお子さんや未成年の家族がいる
  • 銀行口座や投資口座に一定の預金がある
  • 離れて暮らす家族がいる
  • 病気や認知症など、将来的な判断能力に不安がある

リビングトラストは、資産の多さではなく、「家族に負担をかけない備え」として考えるものです。

リビングトラストがないとどうなる?

何も準備をしていないまま自分に万が一のことがあると、家族は次のようなトラブルに直面します。

  • 銀行口座が凍結されて、すぐにはお金が使えない
  • 家の名義変更や売却に時間がかかる
  • 相続でもめた場合、裁判所の判断にゆだねられることも
  • 未成年の子どもがいる場合、正式な後見人が決まるまで誰も法的に面倒を見ることができない

心の整理が必要な時期に、こうした法的手続きを抱えるのは、家族にとって大きな負担です。

未成年の子どもがいるご家庭こそ、備えが必要!

もし両親に万が一のことがあった場合、子どもが18歳未満だと、自動的に親族が面倒を見られるわけではありません。
そのため、親が生前に「誰に子どもを託すか(後見人)」を明確にしておくことがとても大切になります。
この後見人の指定は、「WILL(遺言書)」で行うのが基本です。このWILL(遺言書)はリビングトラストを作成するときにも一緒に作成するのが一般的です。

たとえ叔父・叔母・祖父母など血縁関係のある家族がいても、法的な後見人(Legal Guardian)として認定されなければ、学校への登録や医療の同意、渡航手続きなどができない可能性があります。

法的な後見人 (Legal Guardian) になるには、このような手続きがあります:

  • 家庭裁判所に「後見人の任命申請」を行い
  • 認定された後に「後見人証書(Letters of Guardianship)」が発行される

それまでの間は、誰にも法的な決定権がなく、子どもが宙に浮いたような状態になるリスクがあります。場合によっては、児童保護局(CPS)などが介入するケースもあるそうです。

親が生前に後見人を指定しておくと下記のメリットがあります。
● 病院・学校・行政手続きもスムーズ
● 子どもの生活が途切れずに引き継がれる
● 親族間のトラブルや混乱を回避できる

Natsuko
Natsuko
ママ友
ママ友

でも、誰も家庭裁判所に申請をしなければ、子供が18歳になるまで育てることができるのでは?
誰も後見人かどうか分からないよね?

私もそう思っていたのだけど。。。だって、一緒に住んで世話をすることはできるもんね。
でも、そうじゃなくて、世話をする以外に必要な手続き・署名・医療の同意などが関係してくるんだよね。

● 学校の登録や転校手続き
● 医療の同意(予防接種、入院、緊急手術など)
● 公的支援(医療保険、生活保護、児童福祉など)の申請
● 進学・進路に関する判断や署名

特に保険申請や、医療上の判断が分かれる場合には、病院のリスク管理上「正式な権限があるか」の確認をされる可能性が高いらしいです

Natsuko
Natsuko
ママ友
ママ友

え、じゃあ「叔母です」と言って一緒に病院行っても、サインできないってこと?

そうみたい。
緊急時は応急処置はしてもらえるかもしれないけど、
その後の治療や入院手続きでは、「正式な後見人証明(Letters of Guardianship)」が求められることがあるんだって。
最悪の場合、児童保護局(CPS)が介入することもあるらしいよ。もし介入となった場合は、子どもの安全が確認されるまで、CPSが子どもを一時的に保護してfoster careのような仮の家庭や施設に預けることがあるみたい。そうなったら、裁判所で後見人として正式に任命されていなければ引き渡しできないと判断されるそう。そんなことになったら、子供がかわいそうだよね。

Natsuko
Natsuko

作って終わりじゃない。私が感じた“落とし穴”と大事な手続き

実は、私自身もリビングトラストを作って「これで安心!」と思っていました。
けれど、その後に大切な“もうひと手間”があることに気づかされました。

それは、「財産をきちんとトラスト名義に切り替えること」です。
リビングトラストの書類を作っただけでは、その中に何も入っていない“空箱”のような状態。中身(=財産)をちゃんと移さなければ、せっかくの仕組みが機能しません。

私の場合は…

  • 銀行口座の名義を、トラスト名義へ変更
    ※銀行によっては、新規にトラスト名義の口座を作成しなければいけないようです。
  • 不動産の登記名義を、トラスト名義へ変更
  • 生命保険のBeneficiaryをトラスト名義へ変更

という手続きをしました。他にも401K, IRA, RothIRAといったリタイアメントプランをいくつか持っていますが、これらはトラスト名義には変更していません。

金融機関によっては専用のフォームが必要だったり、不動産の場合は登記変更手続きが必要になったりと、少し手間はかかりますが、ここまでやって初めて“安心できる状態”になるということを実感しました。

これから作成を考えている方は、「作ること」よりも「使える状態にしておくこと」が大切だという点も、ぜひ覚えておいてください。

まとめ

リビングトラスト(生前信託)は、決して特別な人だけのものではありません。
むしろ、ごく一般的な家庭でも「あるかないか」で、家族の安心感が大きく変わります。

私も長らく先送りにしていたひとりでしたが、セミナーをきっかけにようやく作成し、今では心から「やっておいてよかった」と思っています。

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