老後資金・リタイアメント 資産形成(守る・増やす)

老後資金、このままで大丈夫?リタイア前後に考える分散と個人年金(Annuity)

最近、読者の方から
「私の場合は、どう考えたらいいでしょうか?」
というご相談をいただくことが、少しずつ増えてきました。
特に多いのが、こんな声です。

  • 「リタイアメント(退職)が近づいているけれど、このまま株式投資だけで本当に大丈夫?」
  • 「もし大きな暴落が起きたら、老後資金が足りなくなるのでは…」
  • 「投資はしていないけれど、貯金だけではインフレに対応できない気がする」

どれも、とても現実的で、実際に多くの方が心のどこかで感じている不安だと思います。
投資に詳しくなかった方でも、今では401(k)やIRAを通して、知らないうちに「運用する側」になっている時代です。

ただ、リタイアメント(退職)が少しずつ現実味を帯びてくると、
「増やすこと」だけではなく、「どう守るか」も、同時に考える必要が出てきます。

Natsuko
Natsuko

今回は、最近特にお問い合わせの多い個人年金(Annuity)と、
リタイア前後のお金の考え方について、できるだけ分かりやすくシェアしてみたいと思います。

変わってきた「老後のお金」の作り方

少し前までは、退職後のお金について、ここまで深く悩む必要はありませんでした。

  • 公的年金(Social Security)
  • 企業年金(Pension)

この2つが、老後の生活を支える大きな柱だったからです。

特にPensionは、「会社がある程度、老後の収入を支えてくれる」という安心感がありました。
ところが今では、こうした企業年金を受け取れる人は限られています。
州や市の職員、教員、消防士、警察官など、
公共セクターで働く一部の方を除き、
多くの民間企業では、Pension制度そのものがなくなりました。

平均寿命が延び、企業が一生分の生活を保証することが、現実的ではなくなってきたからです。

401(k)・IRAが主流になった今、知っておきたいこと

Pensionに代わって、今の老後資金づくりの中心になっているのは、

  • 401(k)
  • Traditional IRA
  • Roth IRA

といった、自分で積み立て・運用する仕組みです。

これらは、

  • 税制上のメリットがあり
  • 長期的な資産形成に向いている

とても優れた制度です。

実際、「401(k)とRoth IRAがあるから、老後は大丈夫だと思っていました」とおっしゃる方も少なくありません。
ただ、ここで一度、立ち止まって考えておきたいポイントがあります。

それは、これらはすべて、マーケットの動きに影響を受ける資産だということ。
401(k)も、Traditional IRAも、Roth IRAも、中身は株式や投資信託で運用されることが一般的です。

つまり、

  • 増えるときは、しっかり増える
  • でも、下がるときは、同じように影響を受ける

という特徴があります。

退職前後の下落が、なぜ特に深刻なのか

退職前後で、特に心配なのは、資産が大きく減った状態のまま、そこから取り崩しを始めなければならないことです。
特に注意したいのは、次の2つのタイミング。

  1. 退職直前(資産が最も大きくなっている時期)
  2. 退職して、取り崩しを始めた直後

この時期は、
「回復するまで待つ時間」を取りにくいという特徴があります。

もしここで大きな下落が起きると、
当初思い描いていた老後の計画が、
思うように進まなくなってしまうこともあります。

(※この考え方は Sequence of Return Risk とも呼ばれています)

「すべてを投資に任せる」ことへの不安

こうした背景から、最近よく聞くのが、
「資産のすべてをマーケットに置いておくのは、やはり不安」という声です。

401(k)やIRAはとても良い仕組みですが、リタイアメント(退職)が近づいてきたら、
「すべてを同じリスクの中に置かない」 という考え方が、少しずつ広がってきました。

つまり、資産を「役割ごと」に分けて考える、という発想です。

Annuity(個人年金)が注目される理由

そこで、あらためて注目されているのが 個人年金(Annuity)という選択肢です。
アメリカ全体で見ると、個人年金(Annuity)の市場はとても大きく、 2022〜2024年の3年間で販売額は連続して増加しています。
業界統計によれば、

  • 2022年:約3,130億ドル  ($313 billion)
  • 2023年:約3,850億ドル ($385 billion)
  • 2024年:約4,324億ドル ($432.4 billion)

と、どの年も過去の水準を上回っています
(出典:https://www.winkintel.com/2025/01/limra-2024-retail-annuity-sales-set-432b-record-but-how-does-2025-look/

3年連続で、過去最高を更新しています。
これは、
「もっと大きく増やしたい」というよりも、
「できるだけ大きく減らしたくない」
と考える人が増えていることの表れだと感じます。

個人年金(Annuity)は投資の代わりではない

ここで誤解のないようにお伝えしたいのは、
個人年金(Annuity)は、401(k)やIRA、株式投資の代わりになるものではありません」
ということです。

個人年金(Annuity)の役割は、とてもシンプルです。
資産の一部を、
マーケットの急な変動が直接影響しにくい場所に置くこと

つまり、

  • 成長を目指すお金
  • できるだけ安定させたいお金

を分けて考えるための、ひとつの選択肢です。

個人年金(Annuity)には主に2つのタイプがある

個人年金(Annuity)には主に2つのタイプがあります

① 生涯収入型(Income Annuity)

一定の条件を満たすことで、生涯にわたって受け取れる収入の目安を作るタイプです。

「どんなに長生きしても、収入が続く」

という安心感を持てるのが、大きな特徴です。

② 積立型(Accumulation Annuity)

市場が良い年には、利益がつく可能性がありながら、
元本が大きく減らないように設計されているタイプです。

  • 市場が上がった年:利益がつくことがある
  • 市場が下がった年:利益はゼロ。ただし大きくは減らない

「増えなかった年」は、正直少し残念です。
でも、大きく下がった年に、
資産が減っていないことを確認できるのは、
退職前後の方にとって、心の支えになることもあります。

※ただし、インデックスの選択や商品によっては、年間の手数料(チャージ)が設定されている場合があります。
そのような商品では、相場が下がった年に、利息がつかず、結果として残高が少し減ることもあります。

Annuityの注意点

個人年金(Annuity)は万能ではありません。

  • 一定期間、自由に引き出せない制約がある
    (59.5歳未満で引き出すと、IRSのペナルティ対象になる場合があります)
  • 商品や契約時期によって条件が大きく異なる

そのため、「どの商品を、いつ、どんな条件で選ぶか」によって、結果は大きく変わります。

だからこそ、よく分からないまま決めるのではなく、
安心して相談できる人と一緒に整理することが大切だと感じています。

まとめ:大切なのは「選択肢を知った上で判断すること」

老後資金は、
「どれだけ増やすか」だけでなく、
「どこを守るか」も一緒に考える時代になりました。

401(k)やIRAは、これからも大切な土台です。
その上で、

  • 絶対に減らしたくないお金はどれくらいあるのか
  • そのお金を、どこに置いておくと安心なのか

一度、立ち止まって考えてみることが、“安全な老後資金づくり”の第一歩になると思います。

※免責事項:この記事は、特定の金融商品や保険商品の購入を推奨するものではありません。個人年金(Annuity)を含む金融商品には、それぞれメリットと注意点があります。ご自身の状況に合った判断が大切です

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