アメリカ在住のお子さんをお持ちの家庭なら、必ず誰もが一度は頭を悩ます、大学進学費用。
アメリカの大学って、全額負担をする場合、恐ろし~い金額になります。
今回は、アメリカ人も多く利用しているアメリカの学資資金の529プランとセミナーで紹介しているインデックス積み立て型終身保険(IUL)を比べてみました!
※IULはインデックス連動型積み立て保険とも呼ばれます。
529プランとは?
529プランとは、大学資金のための、貯蓄/投資用のアカウントになります。
どの大学でも使えるわけではなく、Federal School Codeに登録された大学だけが対象となります。
Federal School Code "Federal School Code"(連邦学校コード)は、アメリカ合衆国内の高等教育機関(大学や専門学校など)が、連邦政府から学生金融援助プログラム(Federal Student Aid Programs)を受けるために必要な識別コードのことです。
日本の大学もFederal School Codeに登録されている場合は対象となりますが、残念ながら登録数は少ないです。
※2023-2024年度では、宮城県の東北大学のみ登録されています。
Federal School Codeすべての大学を確認するには、こちら(↓)をクリック
リンク先:https://fsapartners.ed.gov/knowledge-center/library/resource-type/Federal%20School%20Code%20Lists
529プランは1つだけではなく、各州に異なるプランが提供されています。
529プランには、Prepaid Tuition Plan(プリペイドテュイションプラン)とSavings Plan(セービングズプラン)の2種類があります。
Prepaid Tuition Plan(プリペイドテュイションプラン)はその名のとおり、先に自分が住んでいる州の特定の大学の費用を積み立てるプランです。最近は、このPrepaid Tuition Plan(プリペイドテュイションプラン)を利用している方は少なくなっており、多くの方はSavings Plan(セービングズプラン)を利用しています。一般的に529プランをしている、と言った場合、Savings Plan(セービングズプラン)を利用していることになります。
この529プランは、給付型の奨学金(ファイナンシャルエイド)を申請するFAFSA (Free Application for Federal Studen Aid)上では、「資産」となり、多少影響があります。
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メリット
- 州により税控除のメリットがある
- 大学費用に使われる場合、元本は非課税で引き出すことができる
- 大学費用のために引き出した場合、給付型の奨学金(ファイナンシャルエイド)を申請するFAFSA上では「収入」とカウントされない
※「資産」としてカウントされます。 - 投資で増やした利子は、お金を引き出すまで課税が遅延され、大学費用として利用した場合は、引き出し時も課税されない
- 投資で増やした利子の課税が遅延されるため、元本は複利式で増えていく
- Beneficiary(受取人)を指定することで、家族や親族が教育機関の目的に使用できる
- 新しいFAFSA(2023年度から導入)では、祖父母が開いた529プランは資産としてカウントされない
- もし使い終わらない場合は、2024年度からSecure Act 2.0によりROTH IRAにロールオーバーが可能 (条件あり)
529プランからRoth IRAにロールオーバーする際は、ここに注意をしてくださいね!
529プランからRoth IRAへのロールオーバー注意点
使い切らなかった529プランをRoth IRAへロールオーバーできますが、下記の条件を満たす必要があります。
● Roth IRAはBeneficiary(受取人)名義であること
● 529プランの口座は少なくとも15年間保有する必要がある
● 生涯限度額$35,000までロールオーバーが可能
● ロールオーバーの5年以内に積み立てられた資金とその利益は、ロールオーバーの対象外です。
● 1年間にロールオーバーできる金額は、Roth IRAの年間拠出限度額を超えてはなりません。
そのため、生涯限度額は$35,000ですが、1度にロールオーバーはできません。何年かに分けてロールオーバーする必要があります。
デメリット
- 教育機関以外に使う場合は10%のペナルティ
- 子供が大学に進学しない可能性も考慮する
2024年から条件さえ満たせば、Roth IRAへロールオーバーが可能 - 529プランが利用できる海外の進学先が少ない
- Federal School Codeに登録された大学だけが529プランの対象
- 給付型の奨学金(ファイナンシャルエイド)を申請するFAFSA上では「資産」としてカウントされる
- 市場相場に影響される
- 投資できる金額に上限がある、上限額は州によって違う
- 短期の運用の目的のものではない、短期だとあまりお金の伸びがよくない
- 州によって手数料に大きな差がある
インデックス連動型終身保険 IUL
インデックス(株式指標)に連動しながらお金を増やしていく、積み立て型の生命保険です。
アメリカでは、このインデックス連動型終身保険(インデックス連動型積み立て保険とも呼ばれます)を利用して、キャッシュバリューを増やしていく方法があります。IULは生命保険と投資の組み合わせとして設計されているため、将来の財政的な安定を確保しながら、市場の成績に連動したリタイアメント資金を築くためのツールとして利用されます。ただし、契約の詳細や費用構造は保険会社や契約条件によって異なるため、契約前に注意深く検討することが重要になります。
メリット
- 生命保険なので、予期せぬ不幸があっても(例え契約した次の日でも)死亡保障金が全額支払われる
- 死亡保障金は、Beneficiary(受取人)が非課税で受け取ることができる
- ダウンサイドプロテクション:不況時に株価がどんなに下がったとしてもダウンサイドプロテクションがあるので、マイナスにはならない
- リビングベネフィット(無料)としてCritical Illness 重病疾患やTerminal Illness 末期疾患 のベネフィットがある
※Critical Illness 重病疾患は、保険のポリシーによってついていない場合もある - カレッジプランニング対策
※Financial Aid(ファイナンシャルエイド)を申請するためのFAFSAフォーム上では、生命保険でどんなにキャッシュバリューが増えても「資産として申告する必要はない。収入と資産総額が低い方が、よりファイナンシャルエイドをもらいやすくなるため、銀行口座にお金を寝かせておくよりもFAFSA的にはよい) - 銀行よりも高い利率で運用されることがある
※利率は保証されるものではありません。
デメリット
- 生命保険なので、健康でなければ加入できない
- 中長期向け。最低でも10年は寝かせておかないとお金の伸びはよくない
- 利回りに上限(CAP)がかけられている (例:株価の利回りが15%としても、IULでは10%)
※特約を購入することで、上限を高くすることもできる - 早期解約には、Surrender Charge((サレンダーチャージ)と呼ばれる手数料がかかる。
※保険のポリシーによって異なりますが、手数料がかかる期間(Surrendar Period)は通常10年~15年
529とIULを比較して、結局どっちがいいの?
アメリカの高額な大学費用をどう貯めればよいのかは、頭を悩ませてしまいますよね。
今回は、アメリカで学資資金用のアカウントとして有名な529 プランとセミナーで紹介したインデックス積み立て型終身保険(IUL)を比較してみました。
529プランとIULの一番大きな違いは、やはりFAFSAでカウントされるかどうか、というところでしょうか。
アメリカの大学は、学校に行きたいけれど学費が足りない、という家庭に対してニードベースの奨学金 (Financial Aid) を提供しています。
そのニードベースの奨学金が提供されるのかどうかは、色々な条件が関わってきます。
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例えば、親と子供の収入や資産といった項目は奨学金をもらえるかどうか重要なポイントになります。
親の収入は、サラリーマンであれば減らすことは難しいですが、銀行口座に眠っている資産は、FAFSA的には資産としてカウントされない場所に移すことにより、ニードベースの奨学金(Financial Aid)をもらえる可能性を高くすることができます。FAFSAは毎年申請できるので、できるだけファイナンシャルエイドをもらいやすくする方法を考えていかないといけません。そのためには、どの項目がFAFSA上で資産・収入としてカウントされるのかしっかり理解する必要があります。
両者は、投資口座と生命保険なので、全く同じ土俵での比較にはなりませんが、参考になりましたでしょうか?
それぞれ、メリットもデメリットもありますが、大学費用をどう捻出していけばよいかお悩みの方の参考になりますように!